発信

ボルネオを知るということ。
サラワク文化村で出会った、今も生きている文化

マレーシア・ボルネオ島サラワク州には27の民族が暮らしています。その中でも代表的な7民族の伝統家屋を復元したテーマパーク「サラワク文化村」では、ボルネオの歴史と文化を体感できる場所。

クチン中心地から1時間弱で到着する「サラワク文化村」
入口では民族衣装を着たイバン族の方々が来訪者を迎え入れてくれました

クチン市街から車で約1時間、熱帯雨林の広大な敷地の中にあるサラワク文化村は、州の最大人口を誇る先住民族・イバン族のロングハウスをはじめ、民族ごとに建築様式の異なる家屋が点在しています。

サラワク州の原住民の生活を体験できます

それぞれの住居には実際に実際の民族の人々が常駐し、楽器を奏でたり、伝統菓子を作ったり、来訪者に吹き矢体験をさせてくれたりと、展示を見る、というより、生活の中に足を踏み入れる感覚で楽しめるようになっています。

円形のバロックで、ビダユ族のダンスが披露されました
ビダユ族の方々が優しい微笑みで見送ってくれました
イバン族の住居には、歴史の重みや伝統儀式を感じさせる展示も

イバン族の住居では、燻された実物の頭蓋骨が吊るされていて、一瞬、息をのみます。
かつて首狩りの風習を持っていた歴史を、言葉ではなく空間で伝えているのが印象的でした。

伝統のプア織りも目の前で見学できます

 

オラン・ウル族のロングハウスは、熱帯雨林に囲まれています

川上に暮らす民族、オラン・ウル族の家屋は長い階段を登った先に建っていました。サラワク文化村全体を見渡せる高い位置にあり、風通しの良い造りです。

私たちが日本人とわかると、奏者はいつの間にか「上を向いて歩こう」やキロロの「未来へ」を演奏してくれました

ボルネオの伝統的弦楽器「サペ」の演奏で私たちを出迎えてくれます。サペは1本の木をくり抜いて作られ、表面にはカラフルなジャングルをモチーフにした鮮やかな彫刻が施されています。
奏者の背後の壁面装飾とも合っていて、空間全体が統一感のある意匠で整えられています。
サペの音色はアコースティックギターに近い柔らかさがあり、穏やかな響きがとても心地よい気分にさせてくれました。

演奏に合わせて伝統衣装を身にまとった女性が踊りを披露。音楽と舞が重なり合い、観光の枠を超えた静かな一体感に包まれていきます。

現地の伝統楽器で日本のポップスが奏でられたとき、言葉を介さない自然な文化交流が生まれていることを体感しました。

心地よい音楽と静かな舞に魅入ってしまいます
メラナウ族の方々に誘われ、気がつけばダンスも体験

そして、この文化村で最も印象に残ったのが、1日2回、ホールで行われる伝統舞踊ショー。

圧巻の民俗舞踊ショーは、必見です

約1時間弱のショーは、本格的なミュージカルのような構成で衣装や小物は実際の民藝を用い、ダンサーたちの踊りや演技のレベルが高いことに驚かされます。物語性があり、笑いがあり、緊張感があり、次の展開にワクワクしながら見入ってしまいます。終盤には、観客がステージに招かれる時間が訪れます。私も思い切って舞台に上がり、伝統ダンスに参加。
ぎこちない動きでも、周囲のダンサーが自然に受け入れてくれます。飽きる瞬間がなく、気づけばあっという間の1時間でした。

その後に訪れたのが、クチン中心部にあるボルネオカルチャーミュージアム。

クチンの街で一際目立つ建物「ボルネオカルチャーミュージアム」

2020年にリニューアルされた近代的な建物の中では、ボルネオ島(カリマンタン島)の歴史と文化が体系的に紹介されています。プロジェクションマッピングや3D展示なども取り入れられ、視覚的にも分かりやすい構成になっています。文化村で見た住居や民族の暮らしが、博物館では歴史の文脈の中で整理されていきます。

原住民のお面も実際のものが展示されている

壺に触れると、意外なものが現れます
頭蓋骨の展示は、最初は誰もが衝撃を受けます

実際の頭蓋骨も展示されており、文化村で感じた衝撃が、ここで静かに理解へと変わっていきました。

クチンは派手な都市ではありません。

けれど、その静かな街の奥には、多民族国家マレーシアの厚みが確かにあります。

サラワク文化村で体験し、博物館で理解する。
その順番で巡ることで、この土地の時間がゆっくりと腑に落ちました。

ボルネオを知るということは、異文化を遠くから眺めることではなく、その背景にある時間に触れることなのかもしれません。クチンを訪れるなら、ここは外せない2つの場所です。
1日かけてじっくり巡る価値があります。

文化に触れたあと、街の空気は少し違って見えました。