発信

イスラムの国で出会った地酒。
クチンで味わった、土地の時間

マレーシアでは、思っているほどお酒に出会うことはありません。

レストランやカフェ、コンビニを見渡しても、アルコールを扱う店は限られています。人口の60〜70%がイスラム教徒の国であることを考えれば、当然のことなのですが、日本から訪れると少し不思議な感覚になります。

そんな中で出会ったのが、サラワク州の地酒「トゥアッ」でした。

先住民のイバン族のイラストが描かれたサラワクライスワイン「トゥアッ」

「トゥアッ」は、地元のもち米を発酵させて造られるライスワインで、アルコール度数は15度前後。どこか日本酒に似た風味がありながら、ほんのりとした甘みがあります。ボルネオ島の先住民族イバン族の間で受け継がれてきた伝統酒で、イスラム文化圏であるマレーシアにおいては例外的な存在ともいえるお酒です。

古い倉庫をリノベしたモダンなレストラン

訪れたのは古い倉庫をリノベーションしたレストラン「カンティン・アット・ザ・グラナリー(KANTIN at The Granary)」では、パンダンリーフやレモングラスなどのハーブを加えたアレンジトゥアッも提供されていました。ラベルにはイバン族をモチーフにしたイラストが描かれ、地元の若い醸造家が少量生産しているとのこと。この店でしか手に入らないと聞き、思わずお土産に購入しました。

ハーブのフレーバーもある「トゥアッ」(250ml)は5種類。日本円で約1200〜1600円

このレストランは、クチン出身の若いオーナーが運営しており、海外からの観光客も多く訪れています。サラワク産の食材をふんだんに取り入れたモダンなマレーシア料理が特徴で、スパイシーな味わいのサテも人気の一品です。クアラルンプールのサテと比べると、やや刺激が強く、酒との相性も良さそうに感じました。

クアラルンプールのサテと違って少しスパイシーで酒にも合いそう

クチンの屋台での食事は500〜800円ほど。ホテルでの食事も日本と比べると手頃で、円安の中でも心理的なハードルは高くありません。海鮮を楽しむなら、ビルの屋上のフードコートがおすすめです。

ビルの屋上にあるフードコートは連夜、賑わっています
大人数で訪れるのがおすすめ。本格的な中華系シーフード
食べ応え抜群。大海老のニンニク炒め
一方、クチンのローカルフードを味わうなら、「ニューローメン(Niu Rou Mian / 牛肉麺)」も外せません。長時間煮込んだ牛肉と濃厚なスープが特徴です。サラワク川沿いにある「ニューローメン・カフェ」は、地元客にも観光客にも人気の店。
地元や観光客からの人気が高いニューローメン・カフェ
シンプルなビーフヌードルは、RM10程度(日本円で約400円)
牛肉のライスボウルもある(日本円で600円程度)
「ニューローメン・カフェ」の店内は、広々として明るい

ビーフヌードルはRM10前後(約400円)、牛肉のライスボウルも約600円程度と手頃な価格です。店内は広々として明るく、入りやすい雰囲気があります。

空港へ向かう途中で立ち寄ったのは、クチンの空港に向かう途中にある「グランマ ハンドメイド ヌードル バクテー(Grandma Handmade Noodle Bak Kut Teh)」。
マレーシアの代表的な料理バクテー(肉骨茶)は、骨付き肉を漢方やスパイスと一緒に煮込むスープ料理です。店によって味つけが多少異なるので、ぜひ色々なお店で試してみたいところ。

奥深い味わいのバクテー
スープを煮詰めて、水分が少ない状態にしたドライバクテー

派手な観光地ではないけれど、土地の空気をゆっくり味わえるクチン。

この場所での体験は、観光というよりも、生活の隣に少しだけ入り込ませてもらった時間でした。