週末、自分を取り戻す旅vol.2
初めてのクアラルンプールで見つけた”私の時間”〜観光スポット編〜

週末に、少しだけ非日常を感じる旅へ――。
マレーシアの首都クアラルンプール(KL)は、日本から直行便でおよそ7時間、時差はわずか1時間。2泊3日の弾丸スケジュールでも、十分に楽しめる都市です。
アジアならではのスパイスの香り、近代的な高層ビルと歴史的建築が並ぶ街並み、そして多国籍な食文化。短い滞在でも、KLは旅人の感覚を心地よく刺激してくれます。

今回は、「グルメ」「観光スポット」「アクセス&弾丸旅の極意」の3つのテーマで、週末KL旅の魅力をお届けします。

色彩と信仰が織りなす、KL近郊の絶景3スポット

週末の弾丸旅であっても、クアラルンプール(KL)近郊には、多文化的な背景や人々の信仰の深さに触れることができるスポットが点在しています。今回は、鮮やかな色彩と神聖な空気をもつ3つの名所を巡りました。

淡いピンク色が朝日に映える、プトラジャヤの象徴ピンクモスク

クアラルンプール郊外の行政都市プトラジャヤに佇むピンクモスク(Putra Mosque)は、淡いローズピンクの外観と湖に映るシルエットが美しいスポット。晴れた空とピンクモスクのコントラストは、美しい絵画のようで、近づけば外壁の繊細な模様や彫刻にさらに心を奪われます。

ローブをまとい、神聖な空間に一歩足を踏み入れる

宗教上の理由から、女性は露出を避けるためのローブを無料で貸してくれます。エンジ色のローブをまとい、素足になってモスクに一歩足を踏み入れると、礼拝堂の荘厳な空気が広がります。

ここで出会ったボランティアガイドの男性の笑顔が印象的でした。30代くらいの彼は「僕は神奈川に住んでいたことがあるんですよ」と日本語で話しかけてくれました。
「唯一無二の神アラーがすべてを創造し、他に神はいない」。
そう語る彼の言葉はとてもシンプルでピュア。普段から宗教を意識しない立場であっても、その考え方の美しさ、信じるものがあることの強さや豊かさに、心が震える時間でした。

現地ガイドの笑顔と丁寧な説明が、モスクの魅力をさらに深めてくれる

モスク内部は、柔らかな光が大きな窓から差し込み、幾何学模様のカーペットやアラベスク装飾が一層映えます。観光スポットであると同時に、ここは信仰の場。静かに歩きながら、文化を尊重する気持ちが自然と生まれます。

光と幾何学模様が織りなす、静謐な礼拝空間

朝や夕方に訪れると、外観が太陽光に照らされ、ピンク色がより深く美しく輝きます。湖畔に立ち、ゆっくりと外観を眺める時間は、忙しい弾丸旅の中でも心が落ち着くひとときです。

青と白のコントラストが映える、マレーシア最大級のブルーモスク

青に癒される、静謐なモスク体験ーブルーモスク(Sultan Salahuddin Abdul Aziz Mosque)
白と青が幻想的なブルーモスク(Sultan Salahuddin Abdul Aziz Mosque)は、クアラルンプール近郊のシャーアラムにある、マレーシア最大級のモスクです。巨大な青いドームと、空に向かって伸びる4本のミナレットが特徴的で、遠くからでもその美しさが目を引きます。

入場は無料ですが、こちらもピンクモスクと同様に入口でブルーのローブとスカーフを借り、着用して入り口近くに集まっていれば、一定の人数がそろうとモスクのスタッフによる英語ガイドによるツアーが始まります。

ガイドから教わる建築の秘密。音が反響するドームの構造は必見

ドームの構造、音の反響を考えた設計、そしてステンドグラスに描かれた模様や幾何学デザインの意味まで、丁寧に説明してくれるため、建築の奥深さや宗教の背景を一度に学べます。

内部に足を踏み入れると、まずその広さと静けさに圧倒されます。白い壁と柱、そして青いカーペットのコントラストが清らかな雰囲気の中、ガイドさんが声を出すと、ドーム天井に響き渡る音が美しく響きました。

写真映えするスポットが多く、ステンドグラスの窓越しに差し込む光や、外観の青いタイル模様は特に印象的です。訪れるなら午前中か夕方がおすすめ。日中の強い日差しは建物の白さをより際立たせ、夕方の斜めの光はブルーを深く見せてくれます。

圧倒される光景、バトゥ洞窟で心が静かになる

高さ42.7mのムルガン神像が、訪問者を見守る

クアラルンプール市内から車で30分ほどの場所にあるバトゥ洞窟(Batu Caves)は、ヒンドゥー教の聖地であり、カラフルな階段と巨大な黄金の像が象徴的な観光スポット。洞窟の入口にそびえる、高さ40メートルを超えるムルガン神像は圧巻で、その足元から続く272段のカラフルな階段。階下には写真を撮る観光客で賑わいます。

階段は見上げるだけでも迫力がありますが、登ってこそ感じる荘厳な風景があります。カラフルな階段の途中、振り返れば街の景色と黄金の神像が眼下に広がり、息が上がりながらも達成感を覚える瞬間です。

272段のカラフルな階段を一歩一歩登ると、広がる達成感
観光客と地元の参拝者が交錯する、文化と信仰の聖地

階段を登りきると、奥には巨大な鍾乳洞が広がり、その自然の造形美に圧倒されます。太陽光が洞窟の天井の隙間から差し込み、光のカーテンが岩肌に映える様子は、神秘的で息をのむほどの美しさです。洞窟内にはヒンドゥー教の小さな寺院や祭壇が点在し、観光客で賑わう中に、祈りを捧げる地元の参拝者の姿も目に入ります。

天井から差し込む光が、神秘的な空気をさらに際立たせる

さらに奥へ進むと、もう一段階の階段が現れ、洞窟の奥行きと広がりを体感できます。「こんな場所に、よくこれほどの長い階段を作ったな」と感心するほどのスケール。観光客の中には軽装で訪れる人も多いですが、急な階段や混雑もあるので動きやすい服装や靴が安心です。
バトゥ洞窟はフォトジェニックでありながら、信仰の場としての荘厳な空気も同居する不思議な場所。朝の涼しい時間帯に訪れると比較的人も少なく、ゆっくりと写真撮影や参拝が楽しめます。

ピンクモスクとブルーモスク、そしてバトゥ洞窟は、どれも宗教的な意味合いが強いのですが、訪れる観光客を温かく迎えてくれる場所です。モスクでは、ボランティアや現地ガイドの丁寧な説明を通して、イスラム建築の美しさや祈りの文化を間近に感じることができます。

今回は3つの定番スポットを中心に巡りましたが、KLの旅はほんの入口。街歩きが楽しいチャイナタウンや夜景スポット、隠れた寺院やカフェなど、訪れるたびに新しい発見が待っています。

次はもっとローカルに近づいて、まだ語り尽くせないKLの“素顔”を深堀りする旅を計画したいところです。