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若手アーティストたちが魅せる「WINDOW GALLERY in MARUNOUCHIfrom AATM vol.2」/丸の内・行幸地下ギャラリー

丸の内エリアの中心、行幸地下ギャラリーで開催中の展覧会「WINDOW GALLERY in MARUNOUCHI from AATM vol.2」。この展覧会は2024年1月26日まで開催されており、現代アート界の新進気鋭のアーティストたちの作品を無料で楽しめる貴重な機会です。

この展覧会を企画したのは、若手アーティストの発掘・育成を目的としたアートアワードトーキョー丸の内(以下、AATM)。2007年にスタートしたこのプロジェクトは、全国の美術大学・大学院の卒業制作から選抜したアーティストたちを紹介するもので、今回で18回目。これまで約500名のアーティストを世に送り出してきたAATMは、若手アーティストの登竜門として広く知られています。

今回の展覧会では、AATM2024のグランプリ受賞者である高田マルさん、三菱地所賞を受賞した朝井彩華さんをはじめ、AATM出身の5名のアーティストによる多彩な作品が展示されています。

11月末に行われたギャラリーツアーには、AATMの歴代受賞者である高田マルさん(2024年グランプリ)、田中彰さん(2015年三菱地所賞、今村有策賞)、山口由葉さん(2020年野口玲一賞)が参加。さらに、AATM2007出身の現代アーティスト薄久保香さんもゲストとして登場し、各作品の解説を行いました。

高田マルさんの作品の一部

高田マルさん:「私」と「公」をテーマにした作品

高田マルさんは、展示空間を「私的」と「公共」の2つの場として設定し、そこに作品を配置。ウィンドウ内側の作品には「私」というひらがなのタイトルがつけられ、自身で撮影した8ミリフィルムを基にした紙に、当時の記憶や思考を線や文字として描き込んだもの。絵でも文字でもない独特の表現を用いているのが特徴です。

「ウィンドウ内を個人的な場所、通路側を公共の場として設定しました。この対比を通して、個人の内面的な視点が公的な場でどう共有されるのかを考えました」と語りました。

田中彰さんの作品の一部

田中彰さん:自然と再現性をテーマにした実験的作品

田中さんは、北海道白老での滞在制作を通じて生まれた作品を展示しています。ドリッキングスコープというシリーズの作品では、物事を測定する行為を通じて「再現性」というテーマに迫っています。

「測れないものを測ろうとする試みや、測定装置そのものの制作を通じて、自分がどこまで自然を把握できるのかを考えました」と語る田中さん。彼の作品は、自然を科学やアートの視点から多角的に捉える挑戦が感じられるものです。

山口由葉さんの作品の一部

山口由葉さん:日常の風景を「描きっぱなし」で表現

日常生活の中で目にする一瞬の風景をテーマに作品を制作している山口さん。主にバスや車窓から見える景色をスケッチし、それを基にして油絵を描いています。窓の比率を参考にしたキャンバスを用い、描き始めた計画が途中で変わっていく過程を重視。「描きっぱなし」に見えるような絵画を大切にしているのが特徴です。

「風景を描くときは、その時の記憶を思い出せるかどうかが重要です。描く順番や手法を大切にしながら、見る人が描くプロセスを追体験できる絵画を目指しています」と語る山口さん。

丸の内をアートの街へ―三菱地所の取り組み

この展覧会の開催を支えるのは、丸の内エリアを文化度の高い街として発展させる三菱地所の取り組み。丸の内では、美術館や仲通りでのアート展示など、訪れる人々が気軽にアートに触れられる仕掛けが多くあります。この展覧会もその一環で、行幸通りの地下通路という日常的な空間をアートギャラリーに変えることで、アートをもっと身近に感じられるようにしています。

 若手アーティストの未来を支えるAATM

「AATMは、若手アーティストがキャリアをスタートさせる重要な場だと思います」と語るのは、AATM出身の薄久保香さん。実際にAATMから飛躍したアーティストたちが日本国内外で活躍する例も多く、丸の内がアートの街として国際的な注目を集める大きな要因となっています。

「WINDOW GALLERY in MARUNOUCHIfrom AATM vol.2」は、若手アーティストたちの多彩な作品を無料で楽しめる絶好の機会です。イルミネーションが煌めく丸の内を歩きながら、街全体がアートに彩られた空間であることを感じてみてはいかがでしょうか。

<「WINDOW GALLERY in MARUNOUCHI fromAATM vol.2」概要>

URL:https://www.marunouchi.com/en/pickup/event/4732/

開催期間:2024年11月20日(水)〜2025年1月26日(日)まで(会期中無休)

観覧可能時間:11:00〜20:00(観覧無料/最終日は18時まで)

開催場所:行幸地下ギャラリー