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給食パンとして神奈川県民に親しまれる「オギノパン」には 愛とノスタルジーが詰まっていました

お正月気分が抜けてくる1月中ごろ、JR新宿駅構内を歩いていると、「丹沢あんぱん」と書かれたのぼりが目に入ってきました。なんとなく気になってその方向に進んでいくと、さまざまな種類のパンが並んでいます。ミツケル編集部Mは、かつてパン職人として10年ほど働いていたことがあり、目の前にパン屋があると立ち寄らずにいられない衝動にかられます。パンの種類ごとにぎゅうぎゅうに並べられていた灰色の番重に書かれた「オギノパン」の赤い文字。昔懐かしい、昭和の雰囲気が漂うフォントです。確か、給食パンを作っている会社ではないだろうか?店員さんに伺うと、神奈川県内の小学校で提供されてるパンを製造しているとのこと。時折、新宿駅に催事出店しているようです。

 

国民のほとんどが食べてきた、学校給食「コッペパン」

さあ、何を買おうか?まず先に目に留まったのは、最も多く並べられていた“給食パン”というシールが貼られた、コッペパン。
コッペパンといえば、学校給食の歴史を語る上で避けて通ることはできない定番の主食でした。第二次世界大戦中から終戦直後にかけて、米の代用品として給食で供されるようになったコッペパンですが、戦後に子供時代を過ごした私の祖母に聞けば、その頃の給食パンはとにかく不味かったそう。栄養価が高いとされ食糧難を救った給食パンも当時は愛される存在ではなかったかもしれません。ただ昭和50年代になると揚げパンやぶどうの入ったパンなどバリエーションも増え、もちろん美味しくなり、パンは国民の主食として定着していきました。近年はコッペパン専門店も増え、様々な具材をサンドして楽しめる人気店もあります。
「オギノパン」のコッペパンは、相模原市や厚木市などを中心に学校給食で提供されています。
「コッペパンはそのままでも美味しいけど、揚げパンにするとさらに美味しいんですよ。店では揚げパンも人気です」と店員さん。催事では販売されていない揚げパンですが、相模原市にある店舗にいけば、揚げパンも食べられる!いつか行ってみたい、と思いながら、定番のコッペパンを一口。ふかふかでやわらかく、もちもち食感で優しい小麦の風味と甘みがあり、どこか懐かしい味わいでした。給食だけではもったいない存在。こうして大人も食べられる幸せを感じてしまいます。

給食パンの定番「コッペパン」
地元の人々に愛され続けている給食パンの定番「コッペパン」
オギノパン定番のコッペパンの断面
断面から伝わってくるふわふわでもちもち食感の「コッペパン」

あんこがぎっしり。手包みの「丹沢あんぱん」

のぼりに大きく書かれていた「丹沢あんぱん」もコッペパン同様にオギノパンで人気のアイテムだそうです。
こだわりは、機械を使わずに手包みしていることだそうです。職人がひとつひとつ丁寧に手で包んで作っているから、一つとして同じ形のパンは存在せず、素朴なフォルムに愛着さえ湧いてきます。手のひらサイズのころっと丸いあんぱんは、“粒あん”と“こしあん”の2種販売されていました。
あんこは粒派の編集部Mは、あんぱんにも目がないので厳しいチェックをしてしまいますが、このあんぱんには、甘粒あんがぎっしりたっぷり入っていて食べ応えがありました。生地はしっとりとやわらかく、小麦の香ばしい香りと粒あんの甘い香りが口の中に広がります。北海道産の小麦を使っているからか、薄皮はコクがあり、苦いコーヒーによく合う味でした。

オギノパンの人気のあんぱん「丹沢あんぱん」
職人が丁寧に作り上げる「丹沢あんぱん(つぶ)」
オギノパンの人気のあんぱん「丹沢あんぱん」
粒あんがぎっしりと詰まった「丹沢あんぱん」

 

 

昭和レトロパンの代表格、「カステラサンド」

昭和時代から菓子パンの一角を担う「カステラサンド」です。見た目からして、レトロ感を漂わせていました。ご当地パンとしても鹿児島などいくつかの県で販売されているカステラサンドは、ふわふわのパンにカステラがサンドされている見たままのパンです。パンとカステラの間にミルククリームが塗られているのが特徴です。
カステラの優しい甘みとミルククリームの甘みのバランスがちょうどよく、小麦の香ばさと甘いカステラが相まって、いくつでも食べられそう。ただ、病みつきには気を付けないといけません。

昭和レトロな「カステラサンド」

ハイカラブームをけん引したパン「昭和の小倉バター」

最後に気になって購入したのは「昭和の小倉バター」という名がついたコッペパン。小倉あんとバターのクリームがサンドされているので、名古屋市民にとっては定番の組み合わせかもしれません。パンとあんことバターという禁断のトライアングル。ファンにとっては、たまらない組み合わせです。
こちらも、優しい甘さのあんことバターの香りが絶妙に混ざりあった小倉バターが、ふわふわのパンとの相性もばっちりでした。編集部Mの中では、この「昭和の小倉バター」が一番気に入りました。おすすめです。

昭和の小倉バターのコッペパン
小倉あんとバターのクリームがたっぷりサンドされてました

 

神奈川県相模原市に本社を構える「オギノパン」は、昭和29年(1954年)創業。長年にわたり学校給食パンの製造・提供を行っており、地元の人々に愛されています。
神奈川県内には複数店舗もありますが、県外にもファンが多く、東京などいろいろな場所で催事出店すると毎回多くの方が買い求めていくそうです。
相模原の本社ではパンの販売はもちろん、工場見学も行っています。
丹沢方面へのドライブがてら、立ち寄ってみたくなるスポットですね。

 

オギノパン本社工場直売店

住所:神奈川県相模原市緑区長竹2841
TEL:042-780-8121
FAX:042-780-8122
営業時間:9:30~17:30 ※4月~8月9:30~18:00
アクセス:「長竹カントリークラブ」より国道412号を厚木方面へ車で2分
公式URL:https://ogino-pan.com/