発信

温暖化で異変がおきた北海道の漁業 新たな名産品「極寒ブリ™️」は救世主になるか

北海道で食べたいものといえば、新鮮な“海の幸”。いくら・うに・かに・サケなど新鮮な海鮮は魅力的なものばかり。旅先で豪華なお寿司や海鮮丼を食べたり、ふるさと納税でも海産物を返礼品としている北海道の自治体を選んだ人も多いだろう。
今、そんな北海道の海の幸に変化が起こっている。

 

海水温の上昇で、秋サケの漁獲量が減り、ブリが増える

北海道では、近年の地球温暖化に伴う海水温の上昇が原因で、サンマ・イカ、サケなど従来、特産とされた魚介類が不漁になっている。特に名産の秋サケはその影響が顕著で、北海道が公表した秋サケの定置網漁の漁獲数では2023年9月末時点でおよそ772万匹と前年の同じ時期に比べ36.4%も減少している。

一方で、これまで地域で馴染みのなかった魚が水揚げされる事例も相次いでおり、漁獲量が急増した新顔の魚と新たな食文化に慣れ親しんでもらおうと、各地で商品化などの取り組みが始まっている。

その最たる例が、秋に北海道沖で豊漁となっているブリ。秋サケが漁獲量を減らす中、ブリが年々漁獲量を増やしている。特に釧路市に隣接する白糠町では、ここ10年の間に、サケの漁獲量が伸び悩み、ブリが急増している。

サケの定置網にかかる大量のブリ

 

北海道で馴染みがなく需要が低いブリをどうする?

ブリの漁獲量が増えていると聞くと、嬉しい悩みのようにも聞こえるが、急激に増加するということには課題もある。ブリはこれまで北海道ではあまり馴染みがなく、需要が低かったため、質が良いにも関わらず1キロ当たりの単価はサケの半値以下で取引されていたそうなのだ。富山名産の「ひみ寒ぶり」は1キロ当たり4,000円で取引されるのに対し、白糠町産のブリは1キロ400円程度と1/10の価格で取引されていたほど。せっかく脂のりの良い上質な天然ブリが獲れても、その価値が認められていなかった。

こうした状況を改善し、地元の漁業と経済を活発にしようと取り組んでいるのが、東京に本社を置きながら、地域に根を張り地方創生に取り組む企業「イミュー」。
ブリの付加価値を高めて消費拡大に繋げようとする取り組みを2023年にスタート。白糠漁港に水揚げするブリのうち、船上で活締めした7キロ以上のブリを「極寒ブリ™️」と命名し、2023年4月には商標登録もした。

<「極寒ブリ(™)」名称使用ルール>
・北海道白糠漁業協同組合で水揚げされること
・船上活〆(放血)で1匹ずつ処理されていること
・魚体が7kgを超えること

特長的なのは、鮮度を保つために、獲ってすぐに船上で活締めしている。エラを切って血を抜くことで、生臭さのない新鮮な美味しさを保つ。手間はかかるが、自分たちが獲った魚を美味しく食べてほしいという思いで必ず船上で活締めしているそう。

船上で活締め

2023年9月には、イミューが白糠町にブリの加工工場を建設。その日の朝水揚げされた「極寒ブリ(™)」を即、加工・製造する。
「極寒ブリ(™)」の味について、⽩糠町の棚野町長は、『臭みがまったくなく、脂の乗りが最高。上品な脂なので何枚でも食べられる。日本全国のブリファンのみなさんに“ブリブリ”消費してもらいたい』と語る。

「極寒ブリ(™)」
「極寒ブリ(™)」

 

「極寒ブリ(™)」がふるさと納税で人気に

「極寒ブリ(™)」とブランド化する前、2022年にはテストマーケティングとして全国の方に⽩糠町のブリのおいしさを知ってもらうため、プロの料理人を起用し、切り身で「漬け」を商品開発。ふるさと納税の返礼品として200セットを出品したところ、わずか6日間で完売している。
2023年には、ブリしゃぶを3,000セット、漬けを1,300セット、ブリかまを200セット、ふるさと納税の返礼品として出品した。

⽩糠町は、2023年8月に総務省が発表した「2022年度のふるさと納税制度の実績」で、ふるさと納税人気自治体ランキングで4位にランクインするほど好評を得た。「極寒ブリ(™)」の他にも、特産品で希少価値の⾼い「シラリカいくら【⽣】」や、伝統的な製法を⽤いた「シラリカいくら【醤油漬け】」が人気になっている。今後は、ふるさと納税返礼品としてだけでなく、様々なチャネルにて全国のお客様に届けたいとしている。

不漁にあえぐ北海道の漁業に、救世主のようにあらわれた「極寒ブリ(™)」。ブランド化して積極的にアピールすることで、話題を生み出し、新たなマーケットが生まれていく。今後も、私たちが期待する、新しい北海道の美味を拡げる取り組みに注目していきたい。

 

<参考情報>
極寒ブリ ブリしゃぶセット

内容:極寒ブリ切身 400g(200g×2)、羅臼昆布 (出汁用) ×1、ラーメン 400g(200g×2)、ラーメンスープ 40ml×2、ポン酢 55ml×2、もみじおろし10g×4、柚子胡椒 1.5g×4、赤紫蘇の粉末 6g×1
400g (3~4人前) のしゃぶしゃぶ用にスライスしたブリと共に出汁用の昆布、ポン酢、こだわりの3種の薬味、〆のラーメンがセットになっている。

提供元:白糠漁業協同組合 北海道白糠郡白糠町岬1丁目2-42
製造者:株式会社イミュー
ふるさと納税サイト:https://item.rakuten.co.jp/f016683-shiranuka/016683-0953