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北欧の布がつくる心地よい暮らし
「北欧のテキスタイルと暮らし展 Beauty for All」
日本橋髙島屋で開催

色鮮やかな布が空間いっぱいに広がる展示会場

北欧の暮らしを彩ってきたテキスタイル文化を紹介する「北欧のテキスタイルと暮らし展 Beauty for All」が、2026年3月4日から16日まで東京・日本橋髙島屋S.C.本館8階で開催されています。フィンランドやスウェーデンを中心に、北欧の人々が日々の暮らしの中で育んできた布の文化。その魅力を紹介する展覧会を訪ねました。

本展覧会にはヴィンテージテキスタイルや家具、インテリア展示など約100点が並びます。19世紀の手仕事からミッドセンチュリー期のプリントデザインまで、北欧の布文化の流れをたどることができます。

北欧デザインといえば家具や食器などを思い浮かべる人も多いですが、実は暮らしの中で大きな役割を担っているのがテキスタイルです。カーテンやクッション、タペストリー(壁掛け)など、布は室内空間の印象を大きく変える存在であり、北欧の住まいには欠かせないものとなっています。

会場に入るとまず目に入るのは、天井から吊るされた大胆なテキスタイルの数々です。赤や黄色、緑などの鮮やかな色彩と、大きな花柄や幾何学模様のグラフィカルなデザインが空間いっぱいに広がり、まるで布そのものがアート作品のような存在感を放っています。

こうした色彩豊かなテキスタイル文化が生まれた背景には、北欧の生活環境があります。冬が長く日照時間の短い北欧では、家の中で過ごす時間が多くなります。そのため、室内空間を明るく心地よく整える工夫として、テキスタイルが発展してきました。大胆な色や柄は、暮らしに彩りと楽しさをもたらす存在でもあります。

展示では、テキスタイルを取り入れたインテリア空間の再現も見どころです。木製の椅子やテーブル、照明とともにクッションや壁掛けの布が組み合わされ、北欧の住まいの一角を思わせる空間がつくられています。ナチュラルな木の家具と布の柔らかな質感が調和し、温かみのある落ち着いた雰囲気を生み出しています。

内覧会には、本展覧会の監修を務める川上玲子さん(北欧建築・デザイン協会 前会長)と、俳優でありガラスデザイナーとしても知られる川上麻衣子さんが登壇しました。母娘で北欧と関わってきた二人が、それぞれの経験から北欧の暮らしやデザインの魅力について紹介しました。

川上玲子さんは1963年にスウェーデンの大学に留学し、テキスタイルを学びました。1966年に麻衣子さんを出産した後、一度帰国しますが、1970年代には幼かった麻衣子さんとともに再びスウェーデンで暮らした時期もあったといいます。

川上家が40年以上前から自宅で使っているチェアも展示されている

会場には、当時から自宅で使い続けているという椅子も展示されています。シンプルな木製の椅子で、軽くて使いやすいデザインが特徴です。40年以上使われてきた家具ですが、現在のインテリアの中に置いても古さを感じさせず、北欧デザインの普遍的な魅力を感じさせます。

麻衣子さんは、この椅子について「小さいころからなじみ深い椅子」と紹介しました。長く使うことで味わいが増していく家具は、北欧の暮らしの価値観を象徴する存在といえるかもしれません。

また麻衣子さんは、幼いころから母の働く姿を見て育ったと振り返ります。母娘の関係については「普通の親子というよりも、仕事をする女性の先輩のような存在」と語り、互いに芯の強さを感じているといいます。北欧での生活経験の影響もあり、子どもの頃から一人の個人として意見を尊重されて育ったことが、現在の関係にもつながっているそうです。

展示では、フィンランドを代表するテキスタイルデザイナー、マイヤ・イソラ(1927〜2001)など、北欧デザインを築いた作家たちについても紹介されています。大胆な色彩と自由なパターン表現で知られるイソラは、北欧テキスタイルを象徴する存在の一人です。花や自然をモチーフにした力強いデザインは、現在でも多くの人に愛され続けています。

北欧ではテキスタイルは単なる装飾ではなく、暮らしの一部として自然に使われてきました。壁に布を掛けたり、椅子にクッションを置いたり、テーブルクロスを替えたりすることで、室内の雰囲気を気軽に変えることができます。そうした自由な楽しみ方も、北欧の暮らしの魅力の一つといえるでしょう。

会場を歩いていると、テキスタイルが生活の中でどれほど大切にされてきたのかが伝わってきます。布一枚で空間の表情が変わり、暮らしの中に彩りや温かさを生み出す。そんな北欧の美意識を感じられる展覧会です。

「北欧のテキスタイルと暮らし展 Beauty for All」は、北欧のデザイン文化を紹介するだけでなく、日常の暮らしを少し豊かにするヒントを与えてくれる展示となっています。色や布の力を取り入れた北欧の暮らしの魅力を、身近に感じられる機会といえるでしょう。

<開催情報>

『北欧のテキスタイルと暮らし展 Beauty for All』

会期:2026年3月4日(水)~3月16日(月)

会場:日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール

時間:10:30~19:30(※3月16日(月)は~18:00)、入場は閉場の30分前まで

料金:一般1,200円、大・高校生1,000円

※2026年3月25日(水)〜4月13日(月)、大阪髙島屋7階グランドホールにて開催